2018-05-04から1日間の記事一覧

5-3 どこまでも、どこまでも

翌朝、まだ日も昇りきらないうちに豪樹は頭を蹴り飛ばされて目が覚めた。 「起きろ、豪樹。ミニ四駆勝負するぞ」「いててっ! 蛍じゃねーかよ。こんな夜に走るのかよ!?」「そう。今じゃないと駄目なんだ。ほら、いつもの練習場だ。急げ」「お、おう。わか…

5-2 遺さざるもの

正晴は薄明の空をみあげていた。花火と……それと、どこか遠くで光がいくつかきらめくのをずっと屋上で眺めていた。 もう、このままここで一晩を明かそうかと思った、そんな頃。戦闘を終えた静が、最後の言葉を伝えに戻ってきた。 「ただいま」「おかえり。随…

5-1 遺すもの

最終章 夏の終わり 朝、早い時間にひかりちゃんが私を起こしに来た。平和になったんだ。これでまた一緒に過ごせるんだ。結女はうれしくなって一通りはしゃいだ後、二人同じベッドで昨晩は眠った。 「おはよう、結女! もう、夏休みだからっていつまでも寝て…

4-2 明日の明かり

開戦直後、真っ先に動いたのは光里だった。 「結女の未来を! あたしたちのイマを! あんたたちなんかに、邪魔させてたまるもんか!!」 機先を制すように飛び出し、ゲートの重力場をも利用して急加速する。意図を察した静と蛍がNDエレメントで力場を形成。…

4-1 ドラグブライド、そしてドラグアロン

第四章 真夏の夜の運命 花火が上がる。駿河市上空で待機していた光里はその光の花を間近で眺めていた。他の二人の姉妹は自分の契約者(リンカー)とうまくやれただろうか。きっとちぐはぐだったんだろうな、と想像して光里は一人で笑った。 自分もそうだった…

3-3 夕焼け色の魔法使い

「ひかりちゃん~今日もお疲れ様ー!! ひかりちゃんのおかげで注文増えたから毎日忙しくて楽しい! 前田さんのお父さんなんていつも顔が怖いのに可愛い子が配達してくれてうれしーってニコニコしてくれてるし~」「結女もおつかれさま! いやー今日もよく働…

3-2 Run,Run,Run

「いっけー! マックスブレイカーゼットツー!!」 豪樹は今日も走っていた。ミニ四駆と共に。けれど、なんだか感覚が違う。違和感に振り向くと、いつもは並走してくるはずの蛍がぼうっと立ち呆けていた。 「……」「ん、どうした? 蛍、元気ないなー」 思わず…