機竜婚礼TRPGドラグブライド 試行世界3412記録 目次

 

機竜婚礼TRPGドラグブライド 試行世界3412記録 0-0

 

第一章 六月の邂逅

1-1 未来からきたヒーロー

1-2 問い、更問い、更々問い 

1-3 ファースト・レース

 

第二章 ただ一度の夏

2-1 ミッドサマー・フライティング

2-2 砂状の楼閣

2-3 特訓

 

第三章 終末の日のすごしかた

3-1 祭り囃子鳴り止まず

3-2 Run,Run,Run

3-3 夕焼け色の魔法使い

 

第四章 真夏の夜の運命

4-1 ドラグブライド、そしてドラグアロン

4-2 明日の明かり

 

最終章 夏の終わり

5-1 遺すもの

5-2 遺さざるもの

5-3 どこまでも、どこまでも

 


これはサークル「どらこにあん」様製作のTRPG「機竜婚礼TRPGドラグブライド」のリプレイ小説です。

物語る機会を作り出してくださったどらこにあん様、そして共にプレイしてくださったQさん、うさたーんさん、GMの巻布さんにこのリプレイを捧げます。

 

Pathfinder:Kingmaker感想

 たまにはプレイしたゲームの感想などをつけようと思った。
 というわけで第一回はPathfinder:Kingmakerだ!

 昨年末のEPIC配布でもらったものをやったので、Steam版を貼るのは不義理な気もするがまあよかろうなのだ。上記ページでは英語のみに見えますが、実際のところはSteam版でも日本語あります。ていうかテキスト多すぎて原語だとクリア不可能だったと断言できる。

 ジャンルはRPG。斜め上視点のアイソメトリックRPGで、発売当初はリアルタイム戦闘しかなかったんですが、アプデでターンベースにも対応されたというちょいと複雑な経緯をたどったゲーム。内容も輪をかけて複雑だよ。そういうのが好きな人向け。

 同名のTRPGであるPathfinderRPGを忠実に再現したというのがこのゲームの売り。PathfinderってなんじゃらほいっていうとD&D3.5版を魔改造したとにかくデータとデータとデータとルール! みたいなゲームなので、とにかく外部ソースでもなんでも参照しながら成長に頭を悩ませて……となること請け合い。そういうのが好きな人向け(2回目)
参考:

prd.qga.me
 Pathfinderは一部の拡張以外は全部Web公開されていて日本語版もあるのでちょっと興味の湧いた人はこっちを見てみるといい。

 じゃあデータをこねくり回して遊ぶゲームなのかというとそういう側面もあるんだけど、主軸には一本筋の通ったストーリーがある。はじめは何者でもなかった主人公が一癖も二癖もある仲間に振り回されたりひどい目にあったりしながら領主になって、王にまで成り上がっていく物語は、善人プレイも悪人プレイもできる幅広い選択肢もあってとても訴求力が強い。
 嫌いなNPC? 殺してしまえ。それか「もう顔も見たくない」って言えば出ていってくれる(選択ミスで数度忠臣を追い出した王より)。ただし困るのは自分だ! 各キャラクターごとに思想信条を持っているので、みんなにいい顔をすればいいってもんじゃないのが悩ましい。

 ぶっちゃけこのお話でTRPGキャンペーンやりてえよ! それくらい完成度が高かった。1-20レベル対応ロングCPですよろしくおねがいします。

 クリア時のプレイタイムは約5Days。100時間RPGの売り文句は伊達じゃない。セーブアンドロードして吟味してる時間はここには含まれていないため、実プレイ時間は倍ほどかかっている気もする。

 こんな感想見に来ている時点で言わなくてもいいことかとは思いますが、攻略情報を探す上で、クラス:キネティシストおよびカリッカ/カネーラ姉妹はDLCを入れていないと出てこないことに注意。一番上にヒットするWikiでは当然いるものみたいに書かれていますし、なんならOPで顔出しまでするのに選べないし関連クエストも発生しません(2敗)。

Good
・シンプルながら先の気になるストーリー
・幅の広いキャラビルド、戦略性のある戦闘
・秩序・善の名君から混沌・悪の暗君まで幅の広いロールプレイ

Bad
・王国運営フェイズの単調さ
・ロード時間の長さ
・一部の進行不能性バグ

評価不能
・惜しげもなく繰り出される高脅威度モンスターのラッシュを含む高難易度

以下ラストまでのネタバレを含む詳細な感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リンジィなんで死んでしまうん……
 トゥルーっぽいナイリッサルートで完走しましたが、主要キャラで死んだのはガレス君(4章で先に一人で子宮に行かせた)とオクタヴィア・レコンガー組。軽症ですんだ……(済んでない)
 最初は攻略なんかも縛って(上述のPRDJサイトは別として)やっていたんですが、首都防衛している間にガレス君が死んで茫然自失としながら生存ルートを探してWikiを見ました。そこからはもう坂を転げ落ちるように首っ引きだったよ。
 と、いうのもですね。選択肢一つで人が簡単に死ぬんですよこのゲーム。ついさっきまで謁見室でそばにいてくれた副官でも容赦なく。キャラクターが魅力的だったがためにわたしの精神は耐えきれませんでした。
 とはいえガレス君はセーブデータを分けてなかったことにより救う道はなく、オクタヴィア・レコンガー組に関してはなぜか最後の仲間クエストが発生しなかったのであれーおかしいなと思ってたらまさかのラスダンで死亡イベントと言うね。不可逆なタイミングでかましてくれますよこのゲームはほんともう……!

 ピタックス編はラッシュライト・トーナメントが発生しないせいでピタックス領土に入れないまま詰むとかいうバグも一度分ででっかくロールバックしたし、散々ですね。みんな、セーブデータはこまめにわけような!

 難易度についてはノーマルで王国運営だけ途中で易しいに変更しました。いやこれ、D20を解決時に振って判定するというシステム上セーブ・ロードでなんとでもなるので、ならもうかんたんにしちゃうか! というところです。自分の性格上セーブ・ロード縛らないと無限に試行するに決まってますからね。
 イベント総数の少なさや、時間制限の関係上王国運営は一気に解消せざるをえないシステムのせいですさまじい水増し感があったのも事実です。ボードゲーム風で最初の手触りは楽しいんですけどね、王国運営。軌道に乗ってしまえば同じことの繰り返しが延々と続くので最後はもう日付をスキップし続ける機械になっていました。3以降のペルソナで何度となく味わった味……

 戦闘難易度はめっちゃ高いゲームですが、主人公以外全員傭兵とかやったら多分めっちゃ楽になると思います。プリビルドの仲間たちとの旅路は楽しいけどデータ的正義ではない。不意打ちも増援も許す、だが脱出できないダンジョンだけは許すな
 最終的に主人公は鎧なしなのにAC70超えとかいう要塞から足が生えて歩いてきたみたいな硬さになりましたが、マジックアイテムいっぱい手に入るレギュレーションで高レベルまでPathfinder遊んだらこうなるんだろうなあと思ってビルドの楽しみはお腹いっぱい味わいました。本家よりもクラスもサブクラスも少ないけどよく頑張ったと言いたい(本家が多すぎるだけだ)。

 

 総評としてはとてもたのしいRPGでした。続編

も日本語化が来たらぜひ遊びたいですね。クラスも更に増えて、今度は王国じゃなくて十字軍運営だとか。
 DMM~~~~頼むぞ~~~~

星を見る

 星を見るように敵を撃つ。星をなぞるように敵を斬る。

 スター・スターシアの意識は戦場で急浮上した。過熱したミストエンジンの熱が彼の体温となり、操縦棺の中でどろりと首をもたげた。
 壊れかけのレーダーが一度警告音を上げたきり沈黙する。FCSに映るのは数十……いや百機以上の敵性反応。無線からは悲痛な報告がいくつも流れてくる。
 シュヴァルベ・ドライの侵攻。テイマーズケイジの崩壊。起動しないグレムリン。……だが、錆まみれになったスターシアの身体は奇妙なことにまだ動くようだった。

 誰かが修繕してくれたのだろうか。戦場において事切れたのを最後に、スターシアの記憶は途切れていた。それでも、戦い方は覚えている。ウェポンラックからパンツァー・クリンゲを引き抜く。
 剣が一本あれば戦える。戦わなければならない。スター・スターシアが目覚めさせられるとすればそれは戦いが起きたからであり、戦うべきときだからだ。傭兵に身をやつしたときから、その論理だけはいつも明確だった。

 管制系に電源を通し、エンジンに圧力をかける。無限軌道が数度空転した後、ガッチリと地面を噛みしめる。スターシアは眠っていたハンガーを飛び出し、サイレンの鳴り響くタワーの中腹に姿を表した。
 防衛施設は既に敵の猛火のさなかにあり、沈黙しているものも多い。だが、その死骸を一つ踏み越えるたび、崩れ落ちたシェルターの脇を通るたび、機体の中の圧力は高まり、吐き出されるときをいまかいまかと待ちわびている。
 シュヴァルベ・ドライの駆動音が近づいてくる。今にも敵機を視界に捉えんとしたとき、通信機の向こうが湧きはじめる。援軍。増援。タワー各地のグレムリンたちが徐々に再起動を始めており、百を越す敵機に噛みつき始めていると。
 スターシアは叫んだ。反抗の狼煙の一つとならんとして。数多の傭兵の一人として。名もなき星屑となるものとして。

「こちら傭兵、スター・スターシア! 本機はこれより交戦を開始エンゲージする! 繰り返す! こちら、傭兵、スター・スターシア! 本機はこれより交戦を開始する!」

 ミストエンジンの加圧に呼応するようにして胸が高鳴り始めていた。この時を待っていたのかも知れない、とスターシアは思った。
 希望も、未来もない。過去の傷跡に追い立てられるような戦い。砂漠に落とした宝石を探すような、星空を見上げるような、そんな戦いを。
 この時を。待っていた。

5-3 どこまでも、どこまでも

  翌朝、まだ日も昇りきらないうちに豪樹は頭を蹴り飛ばされて目が覚めた。

「起きろ、豪樹。ミニ四駆勝負するぞ」
「いててっ! 蛍じゃねーかよ。こんな夜に走るのかよ!?」
「そう。今じゃないと駄目なんだ。ほら、いつもの練習場だ。急げ」
「お、おう。わかったよいくよいくよ」

 駆け出していく蛍の後ろを号機はあくびをしながら追いかける。蛍がミニ四駆に本気になってくれるのは嬉しいことだ。気合を入れるために豪樹は自分の頬を叩いた。
 練習場で待っていた蛍は、手のひらの上にミニ四駆を載せていた。ガトリングもついていない、特殊な形状でもない。一般的なやつだ。

「実は、密かに機体を作っていた。インチキはしていない。ちゃんと手で作った。これで勝負。いいか?」

 豪樹の眼にはたしかにわかった。シャーシを削った跡、走り込ませたヘタリ具合。蛍がこのために調整を重ねていたことが。

「お、ちゃんとした車体作れるんじゃねーかよ!やったな蛍!」
「蛍は賢いからなんでもできる。エライだろう。」

 あんなものを見てしまえば、眠気も一瞬で吹き飛ばされる。やる気百倍だ。

「じゃあ勝負だ」
「手加減はしねーぞ。いっけーーー! ブレイブハァァァァァトーーーッ!」

 言葉通り手加減なしで豪樹は駆け出していく。序盤は豪樹の有利で角を曲がる。けれど、蛍の機体も確かに後ろについてきている音がする。モーターが回りタイヤが地を噛む音が。

「やはりおまえはすごいな!!お前のこと好きだったよ!!」

 蛍の声は弾んでいて、嬉しそうだ。豪樹も嬉しかった。レースを知らなかった少女が、ここまで育つなんて。

「オマエの本気を初めてみたぜ。これからもずっと一緒だぜ、蛍! あ、あれ?」

 逃げ切ってゴールを切った愛機を見送り、二着の蛍を褒め称えようと豪樹が頭を上げた時、すでにそこには機体だけが残されており。蛍の機体もまた、ゴールを切ってもその先の二週目にまで、走り抜けていく。

「ほーたーるーーーー!!!」

 レース場にはただ一人。叫ぶ豪樹と、並走する二台のミニ四駆が朝日を浴びて照らされていた。


Only One Summer's End.

5-2 遺さざるもの

 正晴は薄明の空をみあげていた。花火と……それと、どこか遠くで光がいくつかきらめくのをずっと屋上で眺めていた。
 もう、このままここで一晩を明かそうかと思った、そんな頃。戦闘を終えた静が、最後の言葉を伝えに戻ってきた。

「ただいま」
「おかえり。随分と遅かったじゃないか」
「ええ。でも安心して正晴。あなた達の世界はずっと続くわ。いつまでも。いつまでも」
「やりきったんだな、静。さすが、俺の幼馴染だよ……期待を裏切らない」

 静は笑った。もうなにも思い残すことはないというように。

「世界の危機が去ったんだから幸せを噛み締めて、なんて事は言わない。ただ、せいいっぱい生きて。それがワタシの願い。そして想い」
 きっと静はもう長くないのだろう。けれど、あえて答えを聞きたかった。正晴は問う。

「君はどうするんだ? これから」
「どうしようかな?」
「はぐらかさないでくれよ、お前は――」

 その瞬間、静の最後の思考が流れ込んでくる。
 これ以上、正晴の事を縛る事はできない。ワタシがいた記憶は彼の将来にないほうがいい。正晴の記憶から自分を消して、そして……

「さようなら」

 静の体は静かに夜空に透けていく。

 

5-3 どこまでも、どこまでも

5-1 遺すもの

最終章 夏の終わり

 朝、早い時間にひかりちゃんが私を起こしに来た。平和になったんだ。これでまた一緒に過ごせるんだ。結女はうれしくなって一通りはしゃいだ後、二人同じベッドで昨晩は眠った。

「おはよう、結女! もう、夏休みだからっていつまでも寝てないの!」
「安心したらぐっすり寝れた~~ひかりちゃんは早起きだねぇ……結女もうちょっと寝たい……」
「もう……こっちはヒヤヒヤだったってのに……ま、そこが結女のいいところだよね」
「ひかりちゃん、夜も言ったけど……おかえり!」結女は寝癖でぼさぼさの髪を直さずにへ~~と笑います
「ただいま、結女!」

 結女の髪は寝癖でぼさぼさだ。他方、光里も夜間飛行で乱れ放題である。光里は髪を二人分まとめてNDエレメント操作で整え、太陽のように明るく笑みを作ると、まだベッドから体を起こしたばかりの結女に抱きついた。

「やーひかりちゃんは魔法使いさんだねぇ、結女毎日髪整えるのお願いできちゃう」

 背中をポンポン優しくなでておこう。この子は頑張ってきたのだ。たくさん。抱きつかれたまま徐々に重くなる光里の体重を結女は嬉しく思った。

「えへへ、あたし、すっごく頑張ったんだからね! だからいまだけ、ちょっとだけ……」

 けれどそれは彼女が自分の体を支えられなくなったことの証左で。抱きしめたまま光里の身体は徐々に朝日に溶けるようにほどけて消えていき……頬を伝う、それはきっと嬉し涙が一粒落ちた跡には、あの日見た夕焼けのような色の、小さな髪留めが一つ。
 朝日を照り返してキラリと光ったそれは一瞬剣のようなきらめきを放ち、結女の腕の中にポトリと落ちた。

 

5-2 遺さざるもの

4-2 明日の明かり

 開戦直後、真っ先に動いたのは光里だった。

「結女の未来を! あたしたちのイマを! あんたたちなんかに、邪魔させてたまるもんか!!」

 機先を制すように飛び出し、ゲートの重力場をも利用して急加速する。意図を察した静と蛍がNDエレメントで力場を形成。それをさらに蹴りつけ、半弧を描くようにして、光里はドラグアロンの一機に向かって飛翔する。

 光里の右手が変化した大型剣が陽光を浴びたかのように輝く。

「切り開いて、夕陽の剣! 『陽射しのように斬りつけてサンライト・ブレード』!」

 危機を察したドラグアロンが回避を試みようとする間もなく、亜光速の剣はその翼を一刀のもとに断ち割った。
 返す刀でさらに三度の斬撃を光里は繰り出す。最初の一撃ほどの威力はないものの、それは機動力の大半を失ったドラグアロンにとっては十分な痛打となった。

「光里! どきなさい!」

 声の直後、光里はドラグアロンの身体を駆け上がるようにして背後に抜ける。この好機を逃す訳にはいかないと静がライフルのトリガーを引く。
 フルオートで発射された徹甲弾の嵐がドラグアロンを襲う。身を捩るようにして一部を避けるものの、静の目はその隙をも逃さない。吸い込まれるようにして頭部を弾丸が貫通し、断末魔を上げる間もなくドラグアロンの一騎が爆散した。

「やるじゃん静! 残りも――」
「ふたりとも。もう一体が動く。油断しないで」

 蛍が牽制射で押し留めていた残る一体のドラグアロンが、同胞の死に怒ったかのようにしてまとわりつくミサイルを振り払って動き出す。
 NDエレメントが爪部に収束。翼部が躍動する。三人のもとに巨躯の大質量が襲いかかる。
 三人は互い違いに逃げることによりなんとかその襲撃を回避するも、フォーメーションを乱されてしまう。ドラグアロンの重装甲を貫徹するには力を一点に収束させることが肝要なのだ。だが、ここでライフルのリロードをしながら静が叫んだ。

「正晴、あなたの想いは受け取ったわ。みんな行って、『祭り囃子に乗ってアサルト・マーチ』!」

 静は閃光弾を射出してドラグアロンの視界を一時的に封じると共に、二人のもとにNDエレメントで作り出した加速場を送った。蛍はそれに乗ることで静と合流しながら加速の乗った射撃をドラグアロンにぶつける。

「静、この力場借りるよっ!」

 そして光里は機竜形態へと変化し、ドラグアロンに組み付いた。機竜形態になったドラグブライドは出力、装甲ともに上昇する。足りない速度は静が補ってくれた。いまひとときであればドラグアロンと格闘戦を演じることも可能だ。
 ドラグアロンは咆哮をあげる。純粋な出力では勝る相手をねじ伏せられないことに焦れたのか、その背部からミサイルを幾条も発射する。狙いは遠間から射撃で決めるために集中していた蛍だ。
 蛍は武装の展開を解き回避に集中するが、追尾性能を持ったミサイルは執拗に追い続ける。静も射撃でミサイルの迎撃を狙うが、いかんせん数が多すぎた。

「逃げなさい、蛍!」

 静の悲痛な叫び。ミサイルが爆煙を上げる。風に流された煙が晴れると、しかし蛍は無事だった。光里がドラグアロンを蹴り飛ばし、蛍を庇ったのだ。

「光里。あなたはアイツを抑える役目じゃなかったの。蛍は完璧だから、大丈夫だった」
「にひひ。ごめんごめん、つい、ね」
「……でも、感謝する。ありがとう」

 厚い装甲があるとはいえ、光里の機体も大きく損傷していた。蛍はそれから目をそらさない。今度こそと覚悟を決めた目で全身の兵装を再展開する。
 危機を感じたのか、ドラグアロンから立ち上るNDエレメントの光が高まる。三人は突撃の前兆を見て取った。静は一人離れ釣りだすように射撃を繰り返すが、ドラグアロンはそれに目もくれず、蛍へと向かって加速する。
 だが、今度は蛍も回避をしない。蛍の戦局眼はこの攻撃の直後こそが一番の隙を生むと告げていた。そして今は受け止めてくれる仲間がいる。
 直撃、轟音。そして拮抗。光里の装甲は剥がれ落ちかけているが、ドラグアロン最大の攻撃を確かに受け止めていた。運動エネルギーを発散させたドラグブライドに、エネルギー充填を終えた蛍のキャノン砲が炸裂する。

「今! 走り抜けて! 『夜を駆けるナイト・ランナー』!」

 多大な熱量で溶け落ちたドラグアロンの装甲を的確に撃ち抜くように、蛍は戦術指揮を即座に飛ばす。光里も機人へと戻り、即座に三人による立体機動攻撃が行われる。
 リアルタイムで状況を更新し続ける蛍の眼があってこその技だった。三人が交差するように残弾を打ち尽くしたとき、ドラグアロンの胸部には夜空の見える大穴が開いていた。
 ドラグアロンが爆発四散すると、強い引力を放っていたゲートもまた、ゆっくりと閉じていく。
 ゲートの向こうの空は、白み始めていた。

 

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5-1 遺すもの